キツネとタユタム

007/ノー・タイム・トゥ・ダイのキツネとタユタムのレビュー・感想・評価

4.8
昔所属してた組織が研究してる殺人兵器の情報が何者かに奪われる。
その情報を奪った人物が、自分の愛する女性や、過去に壊滅させた組織と大きく関係していて複雑に絡み合っていくお話。

ダニエル・グレイグ版007の最後の作品。過去4作品と複雑に絡み合う物語のボリュームは圧巻の一言。
全てのいざこざを回収して感動のラストに繋げてくれる。エンドロールでは不思議と涙が溢れる作品だった。

ダニエル・グレイグ版最初の作品「カジノ・ロワイヤル」では、人の言うことを聞かないヤンチャな悪ガキだったのに、色んな経験を経て、他者を優先出来る立派な大人に…!こんなに成長してしまって…という何とも親心的な心理も働き、ひとりの男の成長譚の幕引きと観ても最高の作品だったと思う。

ダニエル・グレイグのジェームス・ボンドだけでなく回りを囲むキャストも最高の一言。
ヴィランを演じるラミ・マレックの冷静で繊細だけど、狂気を感じる演技がとても良い。敵なのに哀愁が漂い、同情してしまうような雰囲気が何とも言えなかった。ボヘミアン・ラプソディーでフレディを演じていたときにも思ったけど、繊細な心の動きを表現するのが上手なんだなと思う。
諜報部員として出てくるアナ・デ・アルマスの凄い綺麗なのにお茶面なキャラクターも最高だった。
アナ・デ・アルマスと007のダニエル・グレイグは前にナイブズ・アウトという映画でコンビを組んでいたので、また二人のコンビが少し観れて嬉しいところ。緊張しているアナに対して、「ただ楽しめばいいんだよ。心配しないで」とダニエルが声をかけていたというエピソードが微笑ましくて最高。

監督が「エキサイティングなだけでなくエモーショナルな作品にしたかった」と言っているだけあって、ただのアクション映画にとどまらず感情に訴えかけてくるような場面が多くあるように感じた。アクションの中に感情に訴えかけてくるものじわじわと練りこんで、最後には涙が止まらなくなる。そういった映画になっていたなと感じる。

オープニングやエンディングの曲も最高に良く、エンドゲームに負けないくらい密な3時間を味わうことが出来たと思う。
キツネとタユタム

キツネとタユタム