ねむみ

007/ノー・タイム・トゥ・ダイのねむみのネタバレレビュー・内容・結末

3.0

このレビューはネタバレを含みます

結論、単体ではあまり好きにはなれなかったが、クレイグボンドシリーズのラストとしてはなんとか納得がいく作品。

思い返せば、クレイグボンドは原点回帰とリニューアルが大きなテーマだった。

原点としてのコネリー、異色展開のレーゼンビー、コミカルなムーア、ハードボイルドなダルトン、大迫力のブロズナン、これらをクレイグの5作品に詰め込んでいる。

その中でも今作は集大成としてこれらの要素に加えて、新しいボンド像を見せることでクレイグ編を締め括ったという印象。

そういった意味では最期に相応しかった。

この作品の好き嫌いは、「新しいボンド像」をどこまで受け入れられるかと、「作品単体としての出来」で大きく別れると思う。

1.新しいボンド像
父になり、そして死ぬ。受け入れるのに時間がかかった。007のお決まりを裏切れば良いってもんでもないが、シリーズを終わらせるための大義としての展開ならば仕方なし。"ボンドはかくあるべき"は通用しない段階。
ここは納得せざるを得ないといった感想だが、他の手は無かったのかと邪推したい気持ちもある。

2.作品単体としての出来
ここについては正直期待を下回った。まずサフィンの目的が曖昧で、マドレーヌに固執する背景も明確でなければウィルス兵器をばら撒く目的も見えてこない。かなり勿体ない。
スペクターも呆気ない最期を見せるので、前作から続いて豪華なキャスティングにしては…感が拭えない。
上映時間が長くなるのは仕方ないが、やりたい事が先行し過ぎて一本の作品としてはややお粗末か。

良かった点で言えば、OPとアナデアルマス。

初代のドクターノオを想起させるデザインに女王陛下のオマージュを加えたOPは、スカイフォールから採用されたダイジェスト風のものになっていてとても印象深い。

アヴァンタイトルは歴代でもかなり長かった方?だが、見応えは十分で007のキモはやはりガンバレルからタイトルまでの一連だなと再確認。

ヴェスパーの没年が現代だったのが少し時代考証に狂いがある気もするが、そこは目を瞑る。

そして何と言ってもアナデアルマス。可愛らしさと強さを兼ね備えながら、既存のボンドガールにはあまり無かった立場の対等さも表現しており、フェリックスの後釜として今後も出演してほしいくらい魅力的だった。
MやQ、マニーペニーに加えてレギュラー化されることを願う。


改めて、好き嫌いが自分の中でハッキリとしない難しい作品。
今後のシリーズにおいて、これまで「女王陛下の007」が担っていた異端枠として位置付けられるだろう。
ねむみ

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