しょうた

少女は夜明けに夢をみる/ 夜明けの夢のしょうたのレビュー・感想・評価

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小品だが、今年の洋画では「ローマ」と同じくらい、その世界に浸らせられた、好きな作品。ドキュメンタリーだが、周到な準備をして丁寧に作られたものだとわかる。冒頭の雪のシーンから、空気の伝わって来るような、美しいカットが続く。(そして、キャメラはけして塀の外に出ずに留まり続ける。)
少女たちは自らの過酷な人生について、切々と語る。一つ一つの言葉が観る者の胸を打つ。何がそれを可能にしたのか?
インタビューする監督の落ち着いた声のトーン。目の前の少女に対する非審判的態度。そして、少女は自らを直視する力を持ち、これからどうしたいのか、答えを見つける力を持っている。そのことへの揺るぎない信頼が相手に伝わるからであろう。今この時、少女自身の偽りのない言葉が見出され発せられる、その瞬間に立ち合いながら涙を禁じ得ない。
世界の片隅でこうした人々の暮らしがあり、悲しみがあり、ささやかな希望がある。地球の反対側に同じ人間が生きていることを映画はそっと教えてくれる。
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