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友罪のnori007のレビュー・感想・評価

友罪(2017年製作の映画)
2.8
「心をゆるした友はあの少年Aだった」といったコピーが印象的だが、要は殺人犯が友として成り立つのかということであろうか?その答えはイエスだ。
というのも、劇中の元犯人は、少し発達障害を思わせるが凶暴性はなく、むしろ自分の犯した罪に対して懺悔の気持ちを持っているので、友人関係ならばさほど害はなく、気のいい人間です。ただし恋人関係となると通常の性行為には無関心で快楽殺人の方に結びついているので難しいだろう。

ただし、とても疑問な点もある。母親の死がきっかけでこうした性癖となってしまったというが、通常、快楽殺人へと向かうのは猛烈な虐待等があったことがきっかけだ。しかし施設の女性も大変親身になってくれているしシリアルキラーになる要素が足りない。
つまりこの設定自体が薄っぺらいものに見えてしまう。

さらに疑問なのは、ワルなのは周囲の普通の人間で元犯人はされるがままになるところ。こうした面でも印象操作が行われてると思う。

このキャラクターは当然、酒鬼薔薇をモチーフとして作られたのだろうけど、実際の酒鬼薔薇の残虐性はこんなものではなかった。正直、酒鬼薔薇となら友人関係どころか近づいたらまずいレベルだと思う。


かなり脱線してしまったが、映画としてはそれなりにおもしろい。ところが登場人物全員がトラウマを持っており、特に解決するわけでもない。最後に生田斗真の衝撃的な内容が明かされるのだが、登場人物全員が衝撃的なわけなので別段おどろきもない。
つまりリアリティもなく、大風呂敷を広げたはいいが回収せずといった感じで、内容はかなり微妙であった。
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