No.4338

衛星劇場の『乙羽信子 生誕100周年記念特集』から。

タイトルの読みは「しょじょほう」で、「まだ誰も登ったことがない山」という意味だそうでである。

あるお金持ちの家の三姉妹と、彼女たちが惚れた男たちとのメロドラマ。

宝塚歌劇団を退団し、大映に入社した乙羽信子（当時26歳）の映画デビュー作。

脚本は、後に乙羽の夫となる新藤兼人。

傲慢な長女轟夕起子の弾くピアノと奥手すぎて殊勝な次女乙羽のぶちんの弾く琴の不協な騒音、トンネル通過で絶叫、どこまでもグイグイしつこく追いかける轟夕起子がフラれてヤクザの田中春男ちゃんに引っかかってもしや妊娠騒ぎ？なんて勝手に心配してもーみてらんないよ〜ってなっていたけど、お金だけで済んでよかった…。上原謙の代わりに都合よく惚れてくれる二本柳寛と飲む瓶ビール何十本。キーキー言ってる末っ子の若水ヤエ子は自宅の階段でタバコまで吸う始末。クリスマスの銀座のシーンは木村恵吾らしい見応えはあるけど、家出と自殺未遂でやり直せる新聞小説のうまくまとまっちゃう感じはさすがにシンカネ脚本でもどうにもならなかった。上原謙の誘いの電話にモジモジしてイライラする信ちんの約束をよかれと思って勝手に取り付ける女中の町田博子よかった。