みゆ

去年の冬、きみと別れのみゆのネタバレレビュー・内容・結末

去年の冬、きみと別れ(2018年製作の映画)
4.7

このレビューはネタバレを含みます

冒頭、第二章という表記に何故?と疑問を持ちながらもだんだんとストーリーに引き込まれていってそのことを忘れていた。最後まで観て第二章の意味を理解して驚愕。
木原坂の罪を暴き真実を明らかにする物語だと思っていたので、完全に騙された。
耶雲恭介がデタラメだというあたりで恭介に何かあるとは思っていたが、こうも180度ひっくり返されるとは。吉岡亜希子がどう絡んでくるのか少し不思議でしたが、まさか恭介の恋人だったとは。百合子との関係が芝居である可能性は全く考えなかったので驚きました。恋人を殺した木原坂姉弟への復讐であると判明したとき、じゃあ百合子のことは復讐に利用するために騙していたのか…無関係なのに可哀想…と小林と同じ考えだったので百合子も共犯、焼け死んだのは姉だったとわかりびっくり。
当事者たちを全て自分の手で裁く方法を考えたと恭介が言った通り、亜希子の殺害に関わった人のみが1番苦しい方法で報復を受けたことを理解したとき、まるでピースが全てハマりパズルが完成したときのような不思議な感覚になりました。
全ての伏線を回収し、無駄なピースなど1つも無かったこの作品は本当に素晴らしいと思います。
全ての真相を知った小林も木原坂も、恭介のことを警察に話せば亜希子の事件の真相も話さねばならない、話したところで木原坂の姉は帰ってこない。本当に完璧な復讐を成し遂げたんですね。改めて、序章で語られる恭介と亜希子の幸せな日々に暖かくて切ない気持ちを感じました。この先、恭介と百合子が罪に問われる可能性はほとんど無いように思いますが、そもそもあの後恭介は自殺したのではないかと私は思っています。亜希子がなによりも生きる理由だった恭介、その亜希子を失い復讐の化物になった恭介は、その復讐を終えた時点で生きる理由はもう無いんでしょうね。だからこそ、百合子には生きろ、と伝えたように思います。百合子は途中から本気だったと言っていましたが、恭介はどうだったんでしょう。それが愛情かどうかはわからないけど、少しは情が湧いていたのではないかと感じました。そうであってほしいという希望もありますが。
百合子も心に暗い陰を持つことになるでしょうが、どうか生きてほしいと思います。
事件の真相が明かさていく過程や恭介と亜希子の思い出のシーンでは泣かなかったのですが、恭介が海で亜希子と別れ化物になったあの瞬間、不思議と涙が出ました。
あまり期待せずに観たのですが、予想以上に素敵な作品に出会えたことに嬉しく思います。
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