アラシサン弐

タクシー運転⼿ 〜約束は海を越えて〜のアラシサン弐のレビュー・感想・評価

3.9
運転手も記者も当初は自己の利益や興味から事件の中心に足を突っ込んでくいけど、実際に目撃したことが想像以上に酷くてドン引きする、ある種古典的な展開ではあるけど、その王道さゆえに突き刺さってくる内容。
ポスター詐欺すぎる。

地獄絵図としか思えない虐殺や軍隊からの逃亡劇を通して、二人が使命感に目覚めるまでの過程が丁寧で引き込まれるし、運転手と記者という武器を持たない職業柄、暴力に対して暴力を告発する闘いを描いているので、真に暴力を肯定しない気概も感じた。

平和なソウルと死地と化した光州の対比も良い。
学生に悪態をつく主人公から、いかに当時の世間が統制された情報の中で過ごしてきたかが分かる。

ハリウッド的なアクション要素は賛否が分かれそうだけど、実際の黒歴史の中に分かりやすいエンタメ要素を投入してフィクション色を混ぜることで、「こんなこと映画の中でしか起きてはいけない」というメッセージに捉えることも出来て、個人的には好評価。
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