お金だけのために運転を引き受けたタクシードライバーのキムが革命の波に飲み込まれて行く。軍人たちによる政権掌握のたくらみについて深く理解していなかった彼は、信じがたい殺戮を目の当たりにして大きく心を揺さぶられる。
謂れなき弾圧に対して戦う仲間たちや学生たちへの責任。
そして自分が護るしかない家族への責任。
二つの責任の狭間でハンドルを握るキムがT字路をどちらに曲がるか迷うシーンが心に刺さった。
報道する責任に突き動かされ始めたドイツ人記者と行動を共にするキム。
心身に深くダメージをうけながら育まれた魂の交流は、言葉の壁をも突き破る。
その後も軍や警察によるデモ隊への弾圧事件は世界各地で起こっている。
「責任と自由」を巡る物語に終わりは無い。