湯っ子

ライオンは今夜死ぬの湯っ子のレビュー・感想・評価

ライオンは今夜死ぬ(2017年製作の映画)
3.0
青が美しい映画だった。空の青、海の青、放置された屋敷の中で、愛する人と再会する部屋の壁紙の青も、彼女と再び、いや三たび別れる湖の青も美しかった。
老人と子供は、今我々がいる生の世界ではない場所(死であったり、生以前であったり)への距離感が近くて、だから親和性があるというようなことを、前に河合隼雄の著作で読んだ記憶がある。だから老いた俳優と子供たちがふれあい、一緒に映画を撮るさまはとても自然ななりゆきに思えた。
「ユキとニナ」のユキちゃんが大きくなって冒頭、ほんのチョイ役で出てくるのだが、18歳くらい?の彼女は生の真っ只中にいる存在なのであまり接点がなかったんだろうなと思う。
画は美しいんだけど平坦すぎて、そう長尺でもないのに退屈に感じてしまった。老俳優が「死」を「出会い」と語るシーンや、かつての恋人とのシーンなど、素敵なシーンはいくつかあるので、もっとギュッと凝縮した短編にしちゃったら良いのでは、なんて勝手なことを思ってしまった。「ユキとニナ」では子供たちの撮り方がすごくいいと思ったんだけど、本作ではただわちゃわちゃしてる感じしか伝わらなかったなぁ。
ジャン・ピエール・レオは、ヌーヴェルバーグを象徴する俳優さんとのこと。そのへんを良くご存知の方なら感慨深い作品なのかもしれません。
湯っ子

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