欧米でベストセラーの小説、パトリック・ネスの混沌の叫びシリーズの1作目「心のナイフ 」が原作だそうです。
脚本にも原作者が入っているので原作の良さを出せるはずと思うのですが、なんか迷走していた印象が拭えません。
映画は1度完成したようですが試写の結果が散々で、再度撮り直ししたというバタバタも影響したのかも知れません。
男の心の声がだだ漏れで女性に筒抜け、女性の心の声は聞こえないというのは面白い設定。「ハートオブウーマン」の逆ヴァージョンみたいな感じ。
文字だとノイズ=心の声の表現がしっくり来るのでしょうけど、映像にするとなんか観てるこちら側もウザったく思えてしまいます。
犬のマンチーがスゴく可愛いかったなぁ…。もちろんCGなどを用いて配慮の上で撮影しているのでしょうが、この映画は馬の件など動物が痛々しいシーンが多い。
トム・ホランドさんは心の声がたれ流しという難しい役を好演していました。デイジー・リドリーさんは相変わらず可愛い。
妄信な独裁者を演じたマッツ・ミケルセンはやはり存在感はあるものの、悪役としては牧師の方がインパクトがありました。
アクションの見せ場は激流のシーンと終盤のクライミングくらいしかなく、スケールの割にはなんか小ぢんまりとしている…。
原作は今のところ6作まであり本作の原作はその1作目なので、どうしても序章的な話で中途半端になっています。
ヒットメーカーのダグ・リーマン監督の手腕でも纏めるのは難しかった模様…。ラストシーンで音楽が流れてスッと終わるのは監督らしかった。
設定は奇抜ですし壮大な世界観は惹き込まれますが、それを存分には活かしきれておらずただの逃走劇になってしまっているのが残念。
酷評されてるほど悪くは無いなと思いましたが、もたつく展開を長く退屈だと思う方が大多数だと思います。