じゅんP

地球でたったふたりのじゅんPのレビュー・感想・評価

地球でたったふたり(2007年製作の映画)
2.2
《(父)の連れ子だった姉と、(母)の連れ子だった妹。たっぷりのDVとネグレクトを注がれて育ったふたりは、ある日意を決して家を飛び出す。困窮し、援助交際を持ちかけてきた男からカバンを盗むが、そこにはヤクザの組の帳簿が入っていて…》

菅田俊・忍成修吾・菅原文太らが存在感込みで画に説得力を持たせようとしている一方、話が進むほどにストーリー自体の隠しきれない空虚さが露見する。

不幸な姉妹は(いたいけな)悲劇のヒロインという表象でしかなく、彼女らを助けてくれる存在も、彼女らに立ちはだかる困難も、おしなべて記号的。
ふたりを傷つけたり追い詰めるために置かれたような端役の人たちの、キャラクターの深みのなさ。特に女性は、全体的に嫌悪感しか抱かないような描かれ方で、徹底して主人公サイドに味方しないよう配置されていて悪意すら感じる。

現実に即した話をしたいのか、寓話にしたいのかもどっち付かずで、このふたりが感じていたであろう絶望も希望も、降りかかる出来事以上の感情を伴って読み取ることが出来なかった。

一生懸命麻雀を教えたり、注射器見つかってドギマギしたりする菅田俊が、この映画の唯一にして最強の癒し。
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