シドニー・ルメットの映画って初めて観たけど、無駄にシリアスで無駄に説明的でいろいろと辛かった。
マスメディアの暴走、という題材があるのは確かだけど、内部政治にがんじがらめになっていく人間の愚かさと組織論的な問題というのは、大きな組織体であればどこにでもある筈のものなので、さほどこの映画における有効性や必然性は感じず。音楽もなく、俳優がやたらと「熱演」しているので、カサヴェテスを曲解してそうな人だな、と思ったら『グロリア』をリメイクしてるのね･･･。こういう人に「夫婦の危機」を描かせると、こんなにも月並みな描写にしかならず。
もちろん、「テレビ・ドラマの脚本みたいな人生のドラマ」をメタ認知して、どこか自分が「ドラマの一場面みたいなことを演じていることを意識しながら生きている」ことへの言及はテレビ以降のものだろうが、しかしそれが映画としての魅力に貢献しているとは思えず。
