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追われる男のevergla00のネタバレレビュー・内容・結末

追われる男(1954年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

【人を育てること、裁くことの難しさ】

一見浅いようで、なかなか高尚なテーマを扱っていると思います。道徳の教科書的で、邦題は合わないように思います。

住む場所を探していたMattは、偶然20歳の若者Daveyに出会い、彼の住む町まで一緒に行こうという話になる。

所が道中で、勘違いが勘違いを招き、Daveyは瀕死の状態になる。

亡き息子の面影を追い求めてなのか、Daveyを献身的に介抱するMatt。その甲斐あって、彼は奇跡的に助かるが、片脚を引きずることに。

リハビリもなく、根性論でDaveyがあっさりと立ち上がる辺りには白けましたが、

不幸はお前だけじゃない!逃げるな!地道に積み上げて生きるんだ!というMattの説教に、ヘタレ気味の自分は涙ぐみました🥲

Daveyに男らしい誇りに満ちた人生を歩ませたいという、Mattの父親のような忍耐と愛情も虚しく、恩を仇で倍々返しする!Daveyの姿には、Matt以上に愕然とします😱

最初に大金を目にした時から、Daveyの本性は分かっていた。
三つ子の魂百まで?
もう二十歳じゃ手遅れなのか?

定職のない若者に「立派な肩書き」を与え、仕事を放り投げても失敗しても、許して手元に置くことで、Mattは「良い父親」の気分を味わえたでしょう。実の息子には、してやりたくても出来なかったことなのかも知れません。

しかし、冒頭でDaveyは、町を出て、刺激を求めて世界を旅したいと夢を語っていました。Mattは「親元」を離れたいというDaveyの本心を理解していません。Daveyは今更「父親」像など求めていないのです。堅実に生きて欲しいという願いはもっともですが、Mattは少々独善的なのでした。自分を憐れむな!とDaveyを叱咤していましたが、孤児として育った彼を一番憐れんでいたのは、実はMatt自身なのではないでしょうか。

そして人は、見たものを見たいように見てしまう。法よりも心象で善悪の天秤を動かしてしまう。

何となく似ているから、前もそうだったからというだけで、他人を犯人扱いする人々。

よく知りもしない青年を、親のように付きっきりで看病するMatt。

誤解から一転、信頼に足りそうだからと、素性を調べることもなく、Mattをsheriffとして町に迎え入れる町民達。面倒を嫌い、早合点でもさっさと万事片付けてしまいたいという彼らの本音が透けて見えます。まぁ、Mattがこれ以上ないくらい公明正大な男だったので結果的に良かったのですが。

悪に染まった魂も、一筋の良心の光を放つ。
ウザくても、嫌いになれなかった「親」。
どうしようもなく出来が悪くても、庇わずにはいられなかった「子」。

Helgaの赤いドレスはサンタクロースみたいでした。当然パパはお見通し!そんなにアホじゃないですよ!😁

Mattの愛馬が、乳牛柄でびっくり!🐄
君、牧場でかくれんぼできるよ。

“Don't live his life for him….. Not even if he were your own son.”

“You think putting a gun in his hand will cure what is in his heart?”

“Why don't you stop feeling sorry for yourself? You think you're the only one in the world ever got a raw deal.…. There's a lot of people in this world who've had a tougher time than either you or me. It comes with the ticket. Nobody guarantees you a free ride. The only difference is, most people don't run for cover. They keep right on going, picking up the pieces the best way they can. But you never hear of them. And the ones who can't take it, like you, the ones looking for the free ride, who cause all the trouble everywhere.”
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