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殺人者の記憶法のyapのネタバレレビュー・内容・結末

殺人者の記憶法(2017年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

「同じ町に殺人者は2人もいらない」主人公の心の声が寒々とした雪景色の中に響く。エンタメ映画として壮絶な戦いを予感させるこれ以上ない胸アツのセリフだ。1人もいらなんだけど、というツッコミは野暮ってものだ。
認知症の連続殺人犯が愛娘を守るため警察の中に潜む連続殺人犯と対峙するという韓国ならではというか韓国にしかできないのではないかというストーリー。観客の「認知症ってだいたいこういう症状」というものをうまく利用したうえに、さらに「こんな症状もあるのだ!たぶん」という飛び道具的な設定・展開がいくつかあり、個人的には驚きというよりは唖然としてしまった。ずいぶん前に姉の自殺を目撃していたのにも関わらず、その姉が成長して目の前に現れているという妄想(誰かを姉と勘違いしているというわけでもない)そんなのアリかよ!ラストシーンに対しての解釈は観客によって分かれるだろう。主人公自ら殺害したというのは妄想にすぎず、彼はどこかで生きているのか、それとも殺害したことを忘れてしまっているのか。私は後者と判断。直前のシーンで自分の娘が誰かもわからなくなったが、人を殺すという習慣は忘れずに覚えている。しかし、それはただの殺人鬼になり下がったというバッドエンドではないと信じたい。なぜ彼を殺さなければならないと主人公は思うのか。それは娘を守るためだ。殺人という習慣を通じて、娘との糸をなんとか切らずに生きているという風にポジティブに解釈したい。そう思った。
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