かさい

バッド・ジーニアス 危険な天才たちのかさいのネタバレレビュー・内容・結末

3.5

このレビューはネタバレを含みます

上方落語に「一文笛」という噺がある。
スリの男がいる。この男は財布を盗むのは、金持ちか悪人相手と決めている。ある日、貧しい子供が一文の笛を買えずにいるのを見つけ、子供に一文笛を盗み懐にいれてやる。子供は喜び笛で遊ぶが、それを見つけた店主が親に言いつける。子供が盗んだと思った親は、激怒して子供を家から追い出し、途方にくれた子供は井戸に身を投げ、意識不明の重体となる。それを聞いたスリの男はひどく後悔する。自分が正しいと思っていたことはやはり不正であった、どうしてたった一文出して笛を買い与えなかったのかと。
映画の中で主人公は「不正であっても誰かを傷つけてはいけない」と言う。裏を返せば「誰かを傷つけなければ不正は許される」ということだ。
ところが主人公の行った不正は、結果として同級生を退学させ、彼はより悪い道へと進もうとする。主人公は「一文笛」のスリと同じ考えに至る。カンニングをするのではなく、教えてあげるべきだ。笛は盗むのではなく、買い与えるべきだ、と。
かさい

かさい