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ボルグ/マッケンロー 氷の男と炎の男のodyssのレビュー・感想・評価

4.0
【スポーツというドラマの陰に】

 かつてウィンブルドンの決勝で対決したボルグとマッケンローを描いた映画です。

 とはいえ、重点はボルグに置かれています。すでにウィンブルドンで4連覇を成し遂げていたボルグ。5連覇がかかったこの時の試合には、心理的に大きな重圧がかかっています。

 また、一般にマッケンローは悪童というイメージで、試合中に審判に罵声を浴びせたりするので有名だったのですが、ボルグは逆に冷徹なイメージのプレイヤーだった。

 しかしこの映画を見ると、若い頃のボルグはマッケンローと同じようなタイプの若者だったと分かる。負けん気が強くて、それが試合態度の放埒さにつながるのです。でも、負けん気が強いというのは強くなるための重要な才能です。負けたくないからこそ、努力して強くなるのですから。

 一方、マッケンローのほうは少年時代の描写が不足していると思いました。もう少し彼の少年期にも時間を割いたほうが良かった。

 また、ボルグにしても、若い頃の悪態つき放題から紳士的なプレイヤーになる過程をもう少し丁寧に描いて欲しかった。ウィンブルドン前の神経質な場面が多すぎますね。

 とはいえ、この映画の見どころはやはり最後の両者の対決でしょう。スポーツでの世界的なプレイヤー同士の対決は、どんな映画や芝居にもましてドラマティックなものですが、この映画を見てそのことを改めて痛感させられました。
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