ゆずきよ

点のゆずきよのレビュー・感想・評価

(2017年製作の映画)
3.9
ショートムービーらしいショートムービー。
多くは語らずに、映像と雰囲気で余白を楽しむ映画。
舞台は床屋の一室。
この二人の背景は会話から想像。
客である中村ゆりの目的は何だったのか。
店主である山田孝之の気持ちとは。
淡い恋の匂いは残るが、そこに続いている道は無いし、今後も深く交わる事は無いだろうな。
うなじの産毛を剃るという行為が、地味ではあるが美しさを表している。

きっと何気無い思いつきだったのだろうと思う。
あの頃と変わってしまった自分とか、変わらない様に見えて進んでいる相手とか。
それがわかっているから、同様しながらも一時の止まり木となったのだろう。
あくまでも勝手な妄想ですけど。

最近の、小洒落た美容院などがどうかは知らないのだが、剃刀で産毛を剃られると全身が総毛立つ様な感覚がある。
私も自分で手入れをしてしまって、久しくその感覚は味わっていないし、個人経営の床屋に入るのは勇気がいる。
それが同級生が経営していたとしても、首に剃刀を当てられるのなら、信頼する相手が良い。

このくらいの長さなので、ミュージックビデオのオープニングみたいな作りではあるが、アレ好きなんだよね。
何処まで裏設定があるのかわからないけれど、勝手に想像して背景を考える。
そうすると音楽がより楽しくなれるんだ。

とっても短いので、隙間時間にでも是非観てみて下さい。
ゆずきよ

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