OASIS

判決、ふたつの希望のOASISのネタバレレビュー・内容・結末

判決、ふたつの希望(2017年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます


「シャロンに抹殺されてればよかったのに」というトニーの侮辱的発言に端を発して始まる裁判は、イスラエルによるレバノン侵攻への苦い記憶に恐怖するパレスチナ人、そしてレバノンが抱えるモザイク国家としての国家的問題を詳らかにする。
個人のささいな問題から拡大化し世論にまで波及、そしてまた個人の問題解決へと収束して行き和解という未来、希望へと繋がっていく構成は見事としか言いようがない。

弁護士が依頼人を護る為とはいえ、個人の恥部、過去を顕にして行く様は痛ましい。
その中で明らかになる弁護士父娘の関係性や、内戦による犠牲者は一方だけでは無かったというような意外性もあり、国家的問題に法廷に集う皆が向き合い考えなければならない現実世界の重みを感じさせてくれた。

社会性、示唆性、エンターテイメント性どれをとっても高レベルでまとまっていて、その年に観たとしたら必ず自分の中のベストには入っていただろうと思えるくらい面白かった。
尾を引くいやらしさもなく、終幕も完璧ではなかろうか。
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