一市民の配管工事のトラブルを、裁判を通してレバノンとパレスチナの宗教紛争問題のテーマにまで描き切ったストーリーは見事としか言いようがない。
第90回アカデミー賞外国語映画賞にノミネートされたのも頷ける。
お互いが持つ民族の憎しみや悲しみをどこかで断ち切らなければならない。
それは、エンストを起こしたヤーセルの車をトニーが修理するシーン、そしてその行為に心を動かされたヤーセルがトニーに謝罪をするシーンに代表される小さな歩み寄りが、国を揺るがす大きな問題を少しずつ解決へと導くことを示唆している。
そう言った意味では、タイトルの「二つの希望」と銘打ったのは的を射ていると思った。
またトニー、ヤーセルのそれぞれの弁護士である親子の法廷内でのやり取りも見応えがあった。
色んな意味を込めて、この作品も是非観るべき秀逸な作品であると思う。