このレビューはネタバレを含みます
「自らの民族と歴史を貶められたら反発するのは当然です。」
相反していた二人が、政治的民族論争に発展していく裁判に戸惑いながら、次第に相手を思いやる穏やかな気持ちに変わっていく様がとても心地良い。決して相手を非難することなく夫を理性的に諭す2人の妻達の存在も、対立に均衡をもたらし心を落ち着かせてくれる。
故障したヤセールの車を、ぶっきらぼうな態度で修理し、エンジンがかかるのを見届けると何も言わず去っていくトニー。それを優しい眼差しで見送るヤセール。きっと心の中では既に和解していたのであろう不器用な二人の姿に、とても心打たれた。