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悲しみに、こんにちはの075Tのレビュー・感想・評価

悲しみに、こんにちは(2017年製作の映画)
4.5
エンディングの不安定な音楽を聴きながら、しばらく席を立つことができなかった。ひたすら淡々と進む。画面に映っていない部分の彼女たちのドラマを想像させられながら。もう叔父も叔母もほんとみんな愛が深くて、泣ける。この夫婦の爪の垢を煎じて、火垂るの墓のババアに飲ませてやりたいくらい。そして、わたしにも。

私事ですが。
「わたしが死んでもちゃんと生きていけるように、○○出来るようになっとこうね」とかって自分のこどもたちを脅して、なにかを習得させようとするのはもう金輪際やめる。ド反省。そんなことじゃない。親が死んでも生きてても、こどもたちは生きていく。そんなことじゃなくて、自分がこどもに出来る唯一のことは、愛情をこれでもかと注ぐことなんだな。 どんなに不器用でも。なにかをあてがうんじゃなくて、誘導などもせずに、じっと見つめて、信じて、ただただ見守る。血が繋がっていようがいまいが、こどもの側にいる大人たちがそうしていけたら素敵だね。

親が死んだあと、わたしもフリダと同じでずっと泣けなかった。でも、愛する人に肩を抱かれながら、気が済むまで泣けたあと、やっと悲しみに向き合えて、少しずつ心が溶けていくのがわかった。救われた。これからのフリダを見守りたい。
悲しみに、こんにちは。とてもいい邦題。
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