一人旅

グレタ GRETAの一人旅のレビュー・感想・評価

グレタ GRETA(2018年製作の映画)
4.0
ニール・ジョーダン監督作。

アイルランド出身の鬼才ニール・ジョーダンが手掛けたサイコスリラーで、フランスを代表する名優イザベル・ユペールが狂気のストーカー女を怪演します。

NYで女友達と暮らしながら高級レストランのウェイトレスとして働いているヒロイン:フランシスが、地下鉄で拾った忘れ物のカバンを親切心から持ち主である未亡人:グレタの自宅に届けたことをきっかけに、精神を病んだグレタに執拗に付きまとわれてゆく様子を描いた“ストーカーサイコスリラー”となっています。

ハネケの『ピアニスト』(2001)では年下のイケメン青年に一方的に惚れ込む哀しき変態女を演じたイザベル・ユペールが今度は親子ほど年の離れた若い女性に異常に執着するストーカー女を怪演します。一日に何十回も電話を掛けてきたり、ヒロインの勤務先であるレストランに客として出没したり、ヒロインの女友達をも背後からストーキングしたり…と次第にエスカレートしていくグレタの異常心理&行動に翻弄されるヒロインの未曾有の不安と恐怖をスリリングに描いた本格ストーカー映画で、わざと置き忘れたカバンを届けに来てくれた親切な女性を言葉巧みに騙して釣るという手の込んだやり口がそもそも気持ち悪さ満点です。

主演のクロエ・グレース・モレッツが良心が仇となり恐怖のどん底に突き落とされていくヒロインを緊迫感溢れる表情で熱演していますが、本作はフランス随一の演技力を誇る名優イザベル・ユペールが魅せる独壇場のマジキチ怪演が暗黒の輝きを放つサイコスリラーであります。
一人旅

一人旅