千紗

ジュリアンの千紗のネタバレレビュー・内容・結末

ジュリアン(2017年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

フランスの社会問題となっているDV問題を扱った社会派サスペンス映画、との見出しを見た。DVでもあるけど、モラハラ問題と捉えたほうがより正確な気がする。

能あるハラッサー(モラルハラスメントの加害者の方)は暴力を振るわない、暴力的になったらそれは失敗、というのをマリー・フランスイルゴイエンヌの著書で読んだので、妻を泣き落としにかかったり、序盤から徐々にハラッサーが相手も自分もコントロールできなくなり最終的に刑事沙汰になって被害が収束するというのはリアルだなと感じた。車内の雰囲気、妻の夫に対する拒絶しきれなさがもはや息子への虐待になっている感じも実際に事例として多々あるんだろうなって感じ。ハラッサーが暴力的にならない限り、あの感じがずっと続いて行くんだろうなというのもまたリアルでゾッとした。

長女は成人に近く、親との面会の自由さという部分で長男との対比になっているんだなとはわかったが、本題材を扱うにあたって彼女の恋人との関係性を描く意味合いはあまり感じられなかったような…。緊迫したシーンと緩急をつけるためかな…。

とにかく、父親に対する長男の嫌悪感と恐怖といつまでこれが続くんだろうという諦めと家族を守らなくちゃという気持ちがないまぜになった表情がとても印象的だった。
千紗

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