Penny

共犯者たちのPennyのレビュー・感想・評価

共犯者たち(2017年製作の映画)
3.6
変わらない社会構造 それでも正そうとする強い民意。
世間は「右」と「左」の対決ではなく、宗教でもなく、権力や資本の「上」と、一般国民やマイノリティの「下」との対決になっている。「タクシー運転手」「1987、ある闘いの真実」で事実を知り、家族や子孫の幸せな未来を願い、多くの民衆が血を流し、勝ち取った民主主義は、またも踏みにじられていた。
それでも民衆は立ち上がる。

かつてMBCを不当解雇されたチェ・スンホは、解雇後に非営利の独立メディア「ニュース打破」に加わって調査報道を続ける。そこから生まれたのが、国家による北朝鮮スパイ捏造事件の真相を暴いた『スパイネーション/自白』、言論弾圧の実態を告発した『共犯者たち』だ。前者では調査報道そのものの執念と信念を描き、後者では”調査報道者”としての闘いを描く。韓国のジャーナリズムを骨抜きにした「主犯」と、権力に迎合した放送業界内の「共犯者たち」にカメラを向け、その実態と構造を明らかにしていく。

言論や報道の自由は、決して与えられることはなく、勝ち取るしかない。
メディアというのは、そもそも権力の監視というのが本分なわけで、韓国にはそれを支える市民もとても多い。『スパイネーション/自白』では長い長いエンドロールに、協力した人達の名前が延々と流れていく。世界の報道自由度ランキングの中では、韓国は第43位、日本は第67位。この映画で描かれている韓国より、実は日本のほうが報道自由度がないというのが現実。
こうしたランキングに一喜一憂するのも馬鹿らしいのだが。

「どっちも自分が正しいと思っているよ、戦争なんてそんなもんだよ」ある猫型ロボット(未来から来た青いやつ)はたまに辛辣な意見を言う。こっちのほうが正しいんだ、なんて、おこがましい意見なのかもなぁ
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