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追龍のmatchypotterのレビュー・感想・評価

追龍(2017年製作の映画)
3.8
これは面白い。期待以上に良かった。
アンディラウとドニーイェンの共闘、激アツ。
それが観れただけでも一見の価値あり。骨太な香港エンタメ映画、良かった。

1970年代のイギリス統治下の香港が舞台。
イギリスからの占領勢力、地元香港の派閥争い。
政治も金と汚職にまみれて何が正義か、曖昧で混沌とした香港、九龍。

政治と金で成り上がり、上から香港の覇権を握ろうとする男、アンディラウ。
香港にやってきてケンカや麻薬密売、汚い仕事も請け負いながら腕っぷしと世渡りで混沌とした香港を下から這い上がる男、ドニーイェン。

イギリスも地元もアンタッチャブルな無法地帯、九龍城砦。
ここを中心に蠢く覇権争いと勢力争い。

上から力と金で動くアンディラウと下から色んな力関係の中を泳ぐドニーイェン。
この2人が、混沌とした香港の中で巡り合う。

誰も信用ならない場所で、一歩間違えればすぐに明日の命はないこの場所で、大胆、且つ、巧妙に仕掛け合う抜きあい差し合い。

この2人もお互いの窮地を助け、その恩を返し合いながらビジネスとして信頼し合う仲にも見えるし、この2人の関係ですら一寸先は闇のようにも見える。

もともと公職のアンディラウとゴロツキファミリーのドニーイェン。
お互いがグレーな場所でグレーな綱渡りを繰り返し、アンタッチャブルなタブーにすら触れていく。
このスリリングでアツい男たちの駆け引きと覚悟が堪らない。

うまくやっても、成り上がっても次から次へと湧き出てくるトラブルの種。
手を出せば国と国の話になってしまうが香港で生きる現地の人からすれば目の上のたんこぶでしかないイギリス勢とのせめぎ合い。

大きな力と力と力が渦巻く、小さな発展途上、香港で起きる覇権と利権争い。
香港を自分たちで何とかしたい、そんな思いが交錯する骨太な人間ドラマ。

ドニーイェン、ゴロツキのクセに圧倒的に強すぎる。さすが。
彼ら2人以外もキャラクターがしっかり描かれていて、だからこそこの熾烈な覇権争いの代償で散っていく犠牲が切なく、印象に残る。

やっぱりこの2人が合わさると画面から滲み出てくる覇気が尋常ではない。圧倒された。めちゃくちゃカッコいい。

“生死は運命が、富は天が決める”。
香港を股にかけた劇的にアツい2人の男の物語。
ラストシーンは印象的。


F:1992
M:968
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