回想シーンでご飯3杯いける

ジョン・ウィック:パラベラムの回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

4.0
アクション映画のシリーズ物なんて、僕が最も敬遠するタイプなのに、この「ジョン・ウィック」に関しては、作品を重ねる毎に面白くなってくるから凄い。

正直言って、1作目の段階ではA級とB級の狭間にある微妙な作品だったと思うんだけど、「マトリックス」時代からのパートナーであるキアヌ・リーヴスとチャド・スタエルスキ監督が、作品を面白くする為に試行錯誤を繰り返してきた事が伺える。ファンにさえ、アクションだけを楽しむ映画だとか、頭空っぽとか、言われたりするようだけど、いやいや、2作目以降は映画好きを唸らせる仕掛けが増えて、かなり充実していると思うのだ。

前作から加わったローレンス・フィッシュバーンは、今作でも地下人脈のリーダーとして暗躍。ハル・ベリー演じるソフィアや、謎の寿司職人ゼロが加わった事で、コミック的な面白みも倍増している。前作の「燃えよドラゴン」に続いて今回は「死亡遊戯」と、ブルース・リーへのリスペクトも忘れない。

終盤でのシャロンの活躍や、犬の演技は、映画的なドラマを生み出し、このシリーズがまたひとつ前進した事を強く感じる。

4作目は大阪コンチネンタルホテルが登場するらしい。そのコンシェルジュ役が真田広之とリナ・サワヤマという事で非常に楽しみ。リナ・サワヤマについては昨年の来日時にライヴを見たけど(彼女は日本人だけど現在はイギリス在住)、身のこなしが日本人離れしているので、スクリーンでも大活躍してくれそうだ。

【2023/9/30追記】
キアヌ・リーブスがディスレクシア(読字障害)を持っているという記事を見付けた。恐らく本人はこの点について多くを語らないだろうが、俳優としての台詞量の少なさや、感情表現が薄い台詞回しの原因は、そこにあるのかもしれない。だとすると「ジョン・ウィック」シリーズは、彼が「マトリックス」時代からの仲間であるチャド・スタエルスキ監督と協力し、身体表現を中心にした作風を築きあげた、障害克服の記録としての存在意義を併せ持つ作品群と言えるのかも知れない。