ツクヨミ

ほえる犬は噛まないのツクヨミのレビュー・感想・評価

ほえる犬は噛まない(2000年製作の映画)
3.0
"犬"に塗れた者たちと韓国現代社会。
中流階級の人間が集うマンションでは飼い犬が失踪する事件が多発していた。そんな中、犬の鳴き声にうんざりしていたユンジュは犬を捕まえ…
ポン・ジュノ監督作品。今作はポン・ジュノ監督の初長編作品でかなり尖った印象を受けるトンデモ作品になっていた。テーマはまさに"犬に関わる人々"であろう。劇中では群像劇とはいかないも、犬を飼い愛でる人、犬をうざがり排除しようとする人、犬を食物としか見ていない人、犬を助けようとする人などの多視点からストーリーが展開する作風はなかなか面白い。そのストーリーにポン・ジュノ監督ならではのブラックジョークや軽快なジャズ音楽が重なり独特の雰囲気を作り上げていて、ポン・ジュノ監督は最初からポン・ジュノだったと言わざるを得ない印象を受けた。
そして今作はポン・ジュノ監督といえばの現代社会の風刺的側面も相変わらずだ。教授になるために賄賂を工面する貧乏教師、金持ちの老婦人が公園で犬と遊んでいるのを愚痴る貧乏マンション住人、夜な夜な犬を捕まえて鍋にして食べる警備員、韓国社会をリアルに描く見せ方はなぜか引き込まれる。
しかし内容としては動物愛護団体から大バッシングを受けそうな内容、犬好きな人は辛い映画鑑賞になると思うので注意です。
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