ほえる犬は噛まないの作品情報・感想・評価

「ほえる犬は噛まない」に投稿された感想・評価

sonozy

sonozyの感想・評価

3.5
2000年、ポン・ジュノ監督の劇場映画デビュー作。
このジャケットデザイン、以前から気になってました。

原題は『플란다스의 개』=「フランダースの犬」。
英題/邦題は「むやみに威張ったりする者ほど、実力はない」という意味のことわざ。
とのことで、ワンちゃんが鍵となりますが、犬食文化が残る韓国という事で日本ではNGなシーンもあるので見る方はご注意ください。

マンションの管理事務所に勤め、事務作業はイマイチですが正義感あふれる女性事務員ヒョンナム(ペ・ドゥナ)
そのマンションに暮らす、出産間近の妻の稼ぎを頼りにほぼヒモ状態(一応大学の非常勤講師?)の冴えない男ユンジュ(イ・ソンジェ)
この二人がメインです。

マンション内に響き渡る犬の鳴き声に神経過敏となっていたユンジュは、ある家のドアの前にいた犬を奪い、マンションの地下室の古い家具の中に閉じ込めてしまう。
その犬の飼い主の小さな女の子が、行方不明犬の貼り紙の依頼に管理事務所を訪ねてくる。
数日後、吠えていた犬は別の犬と気付き、再び地下室へ行くユンジュだが、犬の姿はなく・・・
その後も、犬の失踪事件は続き・・・

ユンジュをこき使いつつ彼をサポートする身重の妻。
客の来ない文具屋の店番をしているヒョンナムの女友達(巨体)。
地下室でひとり鍋を楽しむうさん臭い警備員のおじさん。
マンションの屋上で切り干し大根をつくるおばあさん。
ユンジュが教授になるためには賄賂が必要という酒好きな学長。
地下室に潜む住所不定の危険な男。
と、個性的なキャラクターたちの可笑しさ。

地下室で警備員のおじさんが同僚に語る「ボイラーキム」(ボイラー直しのプロ・キムさんの亡霊が出る)の話。
導入とラストに流れる渋いジャズ・・・

人間の毒と優しさ、現実とファンタジー、せつなさと可笑しさ..いろんな要素が混ざったユニークな作品でした。
ヒョンナム役のペ・ドゥナは是枝裕和監督の『空気人形』が印象的ですが、今作の演技も楽しませてくれます。

この監督は『オクジャ』もそうでしたが、何とも不思議なストーリーを生み出す人なんですね。

このレビューはネタバレを含みます

 団地で吠える犬に悩む男が犬を誘拐してしまう。その犬を団地の警備員が犬食してしまって、団地の犬失踪が相次いでヒロインが犬を捜索していく。

 1本わかりやすいストーリー展開ではなくて説明が難しい映画でした。それなのに惹きつけられる不思議な魅力で、冒頭の団地を歩き回る構図とかの面白さ。ボーラ―の怖い話をする隠れて犬を食べる警備員、どこからともなく現れるホームレス。犬を探す飼い主たち。
 どこかとぼけた主人公の女の子がルームメイトの女の子と犬を屋上から投げ捨てた男を追いかける。鼻血を出してティッシュを詰めて可愛いペ・ドゥナさん。

 教授になりたいけどコネや賄賂が必要な韓国社会。ビルが乱立した時に手抜き工事がたくさん行われたなどの韓国の事情をあっさり描くというのも監督の作家性が出てよかったと思います。

 ただ犬を殺す男には映画的に制裁は特になく、そのまま過ごしてしまったりというのはいかがなものだろうとも思ってしまいました。
 犬を食べたり犬の死骸が出てきたりと生理的に不快に思ってしまう可能性のある映画でしたがブラックコメディとして楽しい映画だったと思います。
20180830鑑賞。ポン・ジュノ監督、ぺ・ドゥナと気になる作品につき前知識なく観た。コレが監督の長編デビュー作とは。独特の世界観だが嫌いではない。鴨ネギならぬ犬ネギなのか、かの国では(笑。電車の中で募金を募る、子供を背負った母親が印象的。
2018 8.26 鑑賞
ポン・ジュノ
ぺ・ドゥナ
隠れた傑作
今ごろペ・ドゥナにハマってしまい、出演作品を漁るように観ている。
キッカケとなったのがこの作品で、一目惚れに近い衝動を受けた。
表情がとても可愛い。。
正直もうそれだけで満足だし、あと10時間はなんてことないこの管理事務所の生活をグダグダと観ていたい。
作品としても、ここまで絶妙な独特の空気感を上手く作れたなぁと感心してしまった。
ちなみに自分はいま韓国映画にハマってるので、多分そんなことないんでしょうけど、日本映画は10年とまでは言わずとも、5年は遅れてる気がしてならない。。
息も出来ない、悪い男、悪い女、グエムル、コクソン 、濃厚な作品は勿論ですが、こんな感じのまで実に上手く作るとは、悔しいほどに素晴らしい。
秋月

秋月の感想・評価

4.5
困る…この映画のレビューは非常に困る



この作品をブラックコメディとして片付けて良いのだろうか?

ポン・ジュノ監督お得意の登場人物まともな人間出てこない映画


そう、まともな人がいない…いや、まともな人間など現実にいるのだろうか?
みんなどこかしらズルしてみたり、仕事をサボってみたり、人に意地悪してみたり、何か自分勝手に考えてみたことが一回や二回はあると思う。それこそ私は数え切れないほどにある。。


ポン・ジュノ監督の映画はそんな些細な自分勝手の積み重ね、もしくは理性で抑えている自分勝手の向こう側を表現しているのではないかと思うのです。

これを人間の業の肯定と言っている方がいました。
成程、私がこの監督を好きな理由が何となくわかった気がします。


犬を拐うシーンや犬を吊るそうとするシーンはなんであんなに面白く撮れるのか謎です。
トイレットペーパーを転がすシーンやマンションの廊下を走るシーン、トイレで賄賂の話をしているシーンも印象に残ります。
クローゼットに隠れていてそれがバレそうになるシーンもホラーテイストに撮っていて爆笑してしまいました。


私は娯楽映画よりもメッセージ性がある映画の方が好きです。
自分を後押ししてくれる映画、自分を受け入れてくれる映画、自分の考えや行動を変えてくれる映画が好きです。
しかしこのポン・ジュノ監督の作品には明確なメッセージや娯楽映画的なエンターテイメント性、その2つの要素がない気がします。それかその2つの要素が両方とも内包されている気もします笑

何が言いたいかと言うと、私が好きな映画の特徴を持っていないのに、何故かこの映画は好きなんです。ポン・ジュノ監督の他の作品も
これは私にとって新しい発見であり不思議な体験です。

夏が終わる前にそんな不思議体験をされたい方は是非ご覧になってください。
※ワンちゃん好き鑑賞注意※
面白かったです!ポンジュノ監督の作品の中でなぜかこれだけ観てなかったんですけど、最近『カメラを止めるな!』の真魚さんがオールタイムベストに挙げているのを見て、良いきっかけが出来ました!
何故ワンちゃん好き鑑賞注意かと言いますと、ワンちゃんを◯ろすシーンや◯べるシーンなどがあるので人によっては怒り爆発ドカーンもなり兼ねないかもなんて感じです。なんとなくゆるっとしたコメディを想像していたんですが、そこはポンジュノ監督ですから、ゆるさもありつつも毒っ気の効いたブラックな笑いが散りばめられた変な映画でしたね。
個性的な登場人物ばかりの中でやはり主人公のペドゥナの可愛さが凄い。ペドゥナのぽっちゃりとした親友役を『サニー 永遠の仲間たち』なんかにも出てるコ・スヒが演じてるんですけど、この2人のだらーっとした関係性がたまんなく愛おしいですね。超癒されます。文房具屋の狭い店内で2人でぎゅうぎゅうになりながらラーメン食べて横になってるシーンとか、屋上で煙草ふかしてるシーンとか、イチャイチャしながら車のミラーぶっ壊しちゃうシーンとか、なんかもうこのやる気のない感じ最高なんです。
ペドゥナの追いかけっこシーンのカットの切り替えも面白かったですね〜非常に心地の良い映画でした!好きです!
kei

keiの感想・評価

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超面白い!脚本が上手い。こんなくだらない題材を映画にするポンジュノ、天才です。
タイトルから、犬にまつわる呑気な話かと思ってたら、見当違い。抑圧された者が、いつか怖い暴走を始めるのではないかとヒヤヒヤだった。監視役のおじさんの語りが上手で聞き入ってしまった。
悲劇を回避する理由あんま見当たらないな 正直だったということ?
いぬ奪取からのダイブなどの軽やかな身体操作をそつなくやったり、いぬのケツを串刺しにしようとするとこのバチってるリズムとか、意外にアクションフルう
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