チッコーネ

ほえる犬は噛まないのチッコーネのレビュー・感想・評価

ほえる犬は噛まない(2000年製作の映画)
4.0
団地という閉ざされた空間を舞台に、日常に潜む狂気をコメディタッチで炙り出そうとしている。
男女それぞれのメインキャラにフォーカシングし過ぎたためか、群像劇ならではの楽しさが薄れ気味で、ちょっと残念。
一番面白かったのは、ボイラー室におけるおじさん同士のやり取りであった。

ヒステリックな愛犬家が観たら憤死しそうな、過激演出が多い。
高所撮影の中には、カメラと役者の位置関係が掴めず、ハラハラする場面も。一体どんな道具を使ったのだろうか。
また「突然、大勢の応援団が現れる」場面はとても映画的で、印象に残った。

社会システムに対する風刺だけでなく『罪と赦し』も本作の大きなテーマとなっている。
しかしスペインのアルモドバル監督などに比べ、態度が漠。
こうしたテーマにおいて「はっきり言うのをやめておこう」という姿勢は、尊敬できない。