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最初で最後のキスのyaekoのレビュー・感想・評価

最初で最後のキス(2016年製作の映画)
3.7

昔は、きっと当時はキラキラして可能性に満ちた瑞々しい瞬間だと、信じて疑わなかった思春期というものは、今振り返ると、なんて危うい場所だったんだろうと思う時がある。こんな映画に出会った時には、特に。

もし、を考えたら苦しくて、でも考えなくても苦しくて、なんでこんな結末にしたのって思った。だってとても暖かいシーンだってあったから、ねぇ違う結末にすることだってできたはずなのにって。
啓発したかったことなのかって思って、少し調べてみたら、実際にあった事件が元になっていたと知って、思いもしなかった、とても重い衝撃を受けた。最後のブルーの手紙にメッセージ性を感じたのは、そうか、そうだったんだね。

いやでも、Born This Wayが出て来たり、充分に示唆はあったのかも。
これは思春期だから、だけで片付くような話ではなかったのね。もっと、複雑で、根の深い問題も描かれていたんだね。

ああそれでもどこかで、立て直すところが観たかったなあと思ってしまう。
ブルーが宛てた大人になった自分への手紙のように、大人になった彼らに会いたかった。
それが叶ったら彼らは、どんな顔をしてどんな話をしたのかな、なんて考えるとまた悲しくて、苦しくて、生きることの困難さに沈みそうになる。けれどきっとこの感情は大切なものだと、片隅でぎゅっと握り締める。

最初タイトルを見た時は、ありがちな青春系かと思ったけれど、今見るとまるで意味が違うものに思えるし、でも決してミスリードでもない。
本当に、とても衝撃的な映画でした。
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