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最初で最後のキスのwantaroのレビュー・感想・評価

最初で最後のキス(2016年製作の映画)
3.9
胸を動かす何かがある作品だった。
若さや不安や嫉妬や怒りが複雑に入り組んでいて、なぜか懐かしいような気持ちになる。
いかにもゲイゲイしいロレンツォは、自分の境遇をはねつけるかのように、ゲイゲイしいおしゃれファッションや、凛とした歩き方、作り物のような笑顔。
母や元彼とのあれこれで、防御壁があるブルー。たまに見せる絶望的な顔が切ない。
そして亡き兄への劣等感をこじらせるアントニオ。こちらも見ていて苦しい。
そんな3人が楽しそうに戯れたり遊んだりするシーンは本当に美しい。いい顔なのだ。Born this wayの歌詞がまたシンクロする。
全体的に曲が良かった。若さの繊細な張り詰め方と、強さを求める希望に心がきゅうきゅうした。

結末は重いけれど、 あれも分かる。みんな子供なんだ。 羽ばたいているようでバタついているだけの。

あの頃の頭がおかしくなりそうな繊細さを思い出す。
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