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運命は踊るのmoimoiのネタバレレビュー・内容・結末

運命は踊る(2017年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

無数にある分かれ道で、何を選べば正しさや幸せにリーチできるのか。
息子の戦死報告によってもともと抱えていた歪みが決定的なものになり、そして誤報に憤った父の選択により、修復が不可能になっていく家族。
戦争状態にある国の家族を描きながらも、普遍性を感じる。
事故、病気、自死、さまざまな形でやってくる愛するものの死につきまとう「あのとき違う選択をしていたら?」。
後戻りなどできないのに、後悔は自責にも他責にも着火する。
喪ったものも壊れたものももとには戻らない。
しかし、その欠片を痛みごと愛おしみながら生きることはできるのではないか?そう思わせるラストシーンだった。
一人ステップを踏むミハエル、彼を抱きしめるダフナ、「二人は一緒にいる方が似合う」と微笑んだ娘。
彼らの行く道にはまだ愛が残されている。

イスラエルの右派政治家がこの作品を批判したのは、検問所での誤射や組織的な隠蔽が描かれたからだろう。
普遍的な家族の在り方をものがたりながら、自国の問題とその提起を織り込んだ、悲しくも静実な作品だと感じた。
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