まや

マリア・ブラウンの結婚のまやのネタバレレビュー・内容・結末

マリア・ブラウンの結婚(1978年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

面白かった。爆発のシーンや音がとても印象に残る作品。主人公のマリアのキャラクター像も逞しくて美しくて好きだった。(キャリアウーマンになってからの服かっこいい好み)

戦争真っ只中、爆発のなか、籍を入れ結婚をしたマリア・ブラウン。しかし、1日半で夫が戦争へ。きっと帰ってくると信じて、マリアは自分の生活を何とかするため頭を使う。

しかし、妹の旦那から、マリアの夫は死んだと聞き、アメリカの軍人専用のバーで働き始めるマリア。そこで黒人の軍人と関係を持つが、そこに死んだはずの旦那が帰ってくる。

ここのシーンがすごい。黒人の軍人すごく優しそうな人で良くしてくれたのに、何のためらいもなく殺すのだ。マリアの中では愛は1人に対して捧げるもので、それが絶対なのだとわかるシーンだ。夫と結婚したからには幸せにならないと強く思い、そのためには自分が幸せで、夫にとって誇れる妻にならないとという信念が終始あるのだ。

身代わりに夫が捕まっている間も、何とか2人で生活できるようにと、マリアは働いていく。自分の美しさと頭の良さでどんどんお金持ちのキャリアウーマンに。そこでの上司とも関係を持つが、旦那のことは隠し、愛人になるならいいと恋愛面では主導権を握る。

この時のマリアはよく男性が言う、自分のある女性像になっている気がした。何でも言う通りにならず、自分の思う通りに振り回す。付かず離れずをうまくやっているように見えた。だが、ここでもマリアの中では夫への愛を貫くための行動なのだ。

終始この強い信念のもと、彼女はどんな困難も乗り越えていく。そこでやっと夫が帰ってくる。帰ってくるシーンのカメラワークドアの外からぐっと寄って黙って抱き合いドアが閉じる。すごく素敵なシーンだった。

やっと待ち望んだ2人での結婚生活。マリアは家まで買って待っていた。これから幸せな2人の日々が始まると言うところで爆発して物語は終わる。

このラストがセリフと同時並行でテレビで流れているサッカーの試合の実況中継が入ってくる。ここが痺れた。これがラストの爆発でのカウントダウンになっている。

爆発で始まり、爆発で終わる短い結婚生活。マリアの信念を貫く逞しさは憧れるが、途中から自分の意思ではなく、義務感でやっているのが痛々しかった。感情が死んでいく感じ。ここからと言うときに物語が終わり現実感を突きつける終わり方すごい作品だなと思った。
まや

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