このレビューはネタバレを含みます
敗戦後、急速に経済成長する西ドイツ。
社会の変化とともに、人々も生き方を変えざるを得なくなり、マリアは現代的と言える夢を見ない生き方をする。そのマリアの姿は力強くて、見ていて爽快。それと同時に関係性の希薄さを悲しく思ってしまうし、それが現代的な生き方に思えることが切なく感じる。そんなことを思って見ていると、マリアは結局愛に生きるので、どこか救われた気持ちになる。しかしそんな気持ちを嘲笑するかのようなラスト。ファスビンダーが観客を手玉に取って、揶揄っているような気すらしてくる。
愛に向かない時代、意識と現実のずれ