YM

IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。のYMのネタバレレビュー・内容・結末

4.2

このレビューはネタバレを含みます

原作を読み、あの爽やかで、かつ静かに感動をもたらすラストに感涙した者としてはすこし不満は残るが、それでもやっぱり、前編後編あわせて5時間によくまとめたと思う。
しかも、後編は時間軸をうまーく繋げて、27年という歳月が地続きになるようにしているのは、巧かったと思う。

……しかし、「お前なんか怖くないもんね」という、本作最大のキモとなるITの倒し方を、過去と現在の戦いを同時進行で(──かつ、流石に映画には登場しない驚愕の儀式(笑)と一緒に──)描く原作とは違い、映画においては、すでに前編でやっているので、そこだけは微妙になってしまったのは否めない。
戦いに妙に理屈をつけられると、シラけてしまうのも仕方がない。
(あと、今回ペニーワイズさんが食べるのがゲイとコンプレックス持ちとただのビル誘き出し用の子供だけ、というのも気になった。前作よりも無作為性は薄れ、弱者を狙うのがペニーワイズさん自身の弱体化の顕れだったのか)

それでも、本作はホラーに見えても、扱っているものはむしろジュブナイルに位置づけられるべきものだ。
映画にまとめるにあたって、リッチィーに原作にないあの設定を新たに付与したのは、ほかの原作から切り落とされた設定と比べても効果的であるように思う。

私は原作の中華料理店でのシーンが一番読んでいて印象に残っているのだが、その箇所の映像化も大満足。
ホラーテイストな人喰いピエロとの戦いは主眼ではなく、「少年時代の、いまは忘れてしまった(忘れたくなかったはずの)思い出を再確認する」というコンセプトとスピリットは、今回の映画においてもきちんと守られていて、彼らの27年を隔てた再会の切なさは、前編のキラキラした子役たちの姿を思い出すに、とめどなく溢れてくる。
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