このレビューはネタバレを含みます
まず感じたのは欲を掻き立てるような音響、ギターをかき鳴らすところもあれば落ち着いたピアノの演奏もあり、とても感情が揺さぶられて観ていて面白かった
アイスの棒にたくさんの蟻が群がるシーンはとてもいい描写だと感じた。
鑑賞後に原作を読んだのだが、映画内の富美子は自分の足の魅力に気づきながらもあくまで大人しくしていた。そして後半にかけて豹変していった。しかし、原作の富美子はそうではない。初めのうちから隠居に向かってピシャリと叱りつけたり妖艶な雰囲気を自ら出したりしているところが原作と本作の大きく別れるところである。
富美子の足においてはFoot-Fetischismus というものが大きいテーマであると言える。本作は脚の美しさと言うより、脚に魅了され狂っていく男の姿に着目してあって少し嫌悪感があった。それに関しては本作は富美子が中心で繰り広げられていたので、原作のような細やかな表現は出来なかったのではないかという考えもできる。
また、富美子の脚に興味がなかった和田が関係を持ってから狂っていったのは分岐点がわかりやすくて良かった。
私は谷崎潤一郎のファンなので今回のアレンジはあまりいいと思わなかった。近代小説を現代に組み込むというのはどの作品においても少し難しいのではないかと考える。しかし先にもあげたように音響がとても良かったのでスコアは3とする。