負け犬の美学のKentFのレビュー・感想・評価

ボクサーがテーマ、には思えない。主人公はその肩書き以上に、フランスの低所得家庭を体現する。
13勝3分33敗。大きく負け越した人生。貴重な勝ち数も不吉にみえる。家族のための見切りまであと一歩。
共済組合への支払いもままならない。輝く未来に照らされた我が子には、見られたくない本当の姿。必死に踏み込み、腕を伸ばす。

“尊厳” Dignité.

そのままでいい。チャンピオンに対する言葉が強く優しく、フランスらしく、心に響く。