負け犬の美学の作品情報・感想・評価

「負け犬の美学」に投稿された感想・評価

lp

lpの感想・評価

3.5
昨年の東京国際映画祭コンペティション部門に『スパーリング・パートナー』のタイトルで出品されていた、フランス産ボクシング映画。

昨年のTIFFでは上映スケジュールが合わず、鑑賞できなかったので、今回劇場公開されたタイミングで鑑賞。

負けが込み「引退」の二文字も頭に過り始めている年老いたボクサー、スティーブが主人公。彼は家族を養うために、世界チャンピオンのスパーリングの相手を買って出るが・・・。
映画の冒頭、試合に負けた後の主人公が映し出されるのだけど、この時の描写が非常に細かい。グローブを保管する仕草や、血が混じる小便、血が付いたまま寝て顔に張り付くタオルなど、ディテールまでしっかりと描き込まれている。映画は「これが主人公にとっての日常だから当たり前」と言わんばかりに、これらの描写を淡々と映し出す。この時点で映画に惹き込まれた。
勝敗や「結果の先にあるもの」にベクトルを向けたボクシング映画は数多くあるけれど、今作のように「ボクシングをやること」に軸足を置いた映画は意外と珍しい。今作の主人公は「ボクサーとしての生き様」なんてカッコイイ言葉が当てはまるドラマチックな存在ではなく、「ボクシングと生活の狭間で如何に生きるか」という葛藤を抱えた等身大の存在だ。仕事の中身がボクシングなだけで「仕事」と「家族」の狭間で戦う姿は、観客の私達と何ら変わらないのではないだろうか?
そんな等身大の主人公が出てくるだけに、今作が心に刺さる人は多いはず。

映画のもう1つの本筋である「家族の物語」としても、終始リアリズムを貫いていて好印象。近作だと日本の『パパはわるものチャンピオン』などと重なる部分も多く、内容は新鮮味には乏しい。ただ、真っ当な話ではあるので、特に不満は無し。「下手でも継続することの美徳」を伝承するラストは素晴らしいし、娘役を演じた女の子も非常に可愛らしく、将来が楽しみな逸材だ。

本編前に大味なアクション映画でお馴染み、「ヨーロッパ・コープ」のロゴが出てきた時は焦ったけれど、良い意味で期待を裏切られる良作でした。
これぞリアルロッキー!
話は全然ロッキーじゃないけど、ロッキーがリアルに居たらこんな感じだろうなって意味で

ラストのシーンがフランス映画って感じよねぇ
(2018年劇場140本目)
(2018年通算258本目)
n

nの感想・評価

4.4
「人生は勝ち負けじゃない」。そうは言ってもね、とつい冷笑的な態度を取ってしまう大人を、じっくり時間をかけて説得してくれるような映画だった。たぶん今年一番胸を衝かれたエンディング。
A

Aの感想・評価

4.5
タイトルマッチをする訳でもなく、劇的な展開の試合が用意されている訳でもない。主人公は才能もなければ、トレーニングで覚醒もしない。それでも立派なボクシング映画でありヒューマンドラマであり、ある意味人生讃歌。成功し輝く人の影には光の当たらない多くの負け犬がいる。
ちらっと挿入されたチャンピオンがスティーブを尊敬し応援する様子が垣間見えるシーンや、可愛らしい愛娘の素晴らしい笑顔だけでも見てよかったと思ったのに、最後に予想していなかったオマケが。これほどまでに温かな視点を持った映画はそうそう見ない。優しい余韻が心地よかった。
『負け犬の美学』という邦題もいい。
ガク

ガクの感想・評価

3.9
お父さんの最期の決心良いなあ。
わかりやすい・よくある演出を徹底的に廃して、しかし同等の感動を与えようとする試みは見事に成功していた。とてもリアルなフィクション!こんな男にならなければ!!

このレビューはネタバレを含みます

ボクシングを題材にしているけれど、愛に溢れた優しい作品。
結果ばかり見てしまいがちだけど、結果に至る過程も大切だと教えてくれる。
マチュー・カソヴィッツやっぱり好きだ!
スティーブがサポートしたチャンプの試合の結果が気になる。
娘ちゃんは、スティーブの最後の試合を見に行かなかったことを一生後悔するのでは。見て欲しかった。
Tai

Taiの感想・評価

3.9
リングに上がり続けるのは家族のため?自身のプライドのため?それとも…

試合に呼ばれることも減ってしまった落ち目の中年ボクサーがチャンピオンのスパーリング相手をするお話。
この主人公であるスティーブがまた微妙な男なんです!
頂点を目指す熱意は無く、ボクサーとしてのプライド的なものを感じさせず、まるで普通のサラリーマンが会社に出勤するようにジムへリングへと向かっていく。
本当に物語の主人公なのか?と思わせる、あまりにもモブな挑戦者を演じたのがマチュー・カソヴィッツ。
「アメリ」で主人公アメリと恋模様を演じた彼ですね。
あの飄々とした雰囲気が本作のスティーブという男のイメージにピッタリでした。

私はここ数年、趣味でマラソンをしていて、大会にもいくつか参加させてもらってます。東京マラソンにも出ましたよ!
そこで共に走る市民ランナーの方々というのは、別に1位を目指して走ってはいなくて、各々が違う目標を掲げています。
「4時間切ってゴールする」「前回より10分タイムを縮める」「一度も歩かず完走する」「ゴールまで辿り着く」
かくいう私自身もそんな大勢の中の1人で、トップを狙うなんて夢のまた夢です。
もちろんトップを狙い努力する人達は輝かしく、だからこそ、そう言った人物が映画でも物語になっていきます。
しかし、そうじゃない勝利条件もある。
この作品を観ていると、どんな競技の中にも必ずいる、そんな大勢の中の1人のことを的確に作品として落とし込んでいると感じました。

リングで負けだらけの男が求めた勝利条件とは?

さすがのフランス映画に色々と考えさせられましたが、1番惹かれたのはスティーブの娘役を演じたビリー・ブレインちゃん!
ちょっとポスター画像を見て頂きたい!
「人生を踊れ!」と書いてある文字の上で笑顔を見せている子ですね。
ボーイッシュな見た目なのに、喋って動くとまあ可愛い!
パパっ子具合がそりゃあもう可愛い!
ここぞという時に言う台詞が、こんなん言われたらパパ目から鼻血でるわ!くらいでした٩( ᐛ )و

あ、ちゃんと内容あってのスコアです(笑
chiii

chiiiの感想・評価

3.1
ストレスたくさん、現実逃避に仕事帰りにレイトショーへ。売店で買いビール片手に鑑賞。映画館たくさんある川崎だけど、アニメ以外でいちばんレビュー評価が高かったこちらの作品に決めた。フランス映画てほとんど観たことなかった。なんでもかんでもハッキリするって感じのスカッと映画ではなく、ゆっくりのっしりジーンとくる映画であり、静かなのに暗がりなのに、なぜだか印象に残る場面がたくさん。でもなんだろ結末などがはっきりしないところもあるから色んな思考がでてくるし、色々想像できて終わった後も楽しめる。最近観てなかったこうゆう映画かなり好み。ただ私は人生経験まだまだだから上手く理解出来てないんじゃないかと思って個人のスコアは低め。肝心の負ける美学ってところはとても上手に描かれてると思った。母、娘はかなり魅力的。最終的にストレス吹き飛んだ。役者さんが魅力的な良い映画と思う。

このレビューはネタバレを含みます

中年の負け犬男性の哀愁を描くフレンチムービー。
マッチョイズムバリバリのハリウッドムービーとは一味違う、ボクシングシーンそのものよりその余韻に重きを置く独特の情緒が溢れた作品になっている。

冒頭、盛りをとうに過ぎた負け犬老年ボクサーの試合の一幕。劣勢であることのみ示してその結末は画に出さぬまま試合後へ。年齢や体躯からまさか選手とは思われず、会場の表口から入ろうとすると門番スタッフに制止される様がいちいち物悲しい。
深夜に帰宅して最愛の娘の寝床へ...勝敗を尋ねられて静かに「惜しかった」と苦笑する主人公の哀愁たるや、というところ。

なかなか試合が決まらないが、妻一人と子ども二人を抱えての世間胸算用。
偶然にも行きつけのジムにスパーリングパートナーを探しに来ていたチャンプのトレーナーに頼み込んでいざ王者のスパーリングパートナーへ。
他のスパーリングパートナーとの年齢差や身体の違いがもう歴然過ぎて唖然とするが意外や意外。主人公は動じない。

当然ながらまともなスパーリング相手になるはずもなく、すぐにクビを宣告されるが生活のためにチャンプの朝練に付き合って食い下がる。
ただの泣き落としなら見ていられないがここで見直すのがきちんと年の功を見せる場面。
チャンプの闘い方から一度KOされたボクサーゆえの怯えを見抜き、過去の対戦経験からチャンプの対戦相手への攻略法で主席トレーナーに物怖じせず反論する...。
「どんなボクサーでも、KOされる前と後とで絶対的に変わってしまう」。
まさに負け犬ゆえの重みのある台詞である。

娘がずっとせがみ続けた父の試合の観戦。拒み続けた主人公にはやはり負ける姿は見せたくないのか、プライドがなんとも屈折している。
娘のまっすぐで正義感の強い性格は、決して強くないながらも筋を通した生き方をした父親の生き様を感じさせる。

最終的にチャンプの計らいで自身の引退戦をお膳立てしてもらい、最後は勝利で飾る。
チャンプの闘いの行方がどうなったかも気になるがそこは趣旨がずれてしまうので已む無しとしておくところか。

序盤同様、ベットの娘に勝負の結果を尋ねられて苦笑で勝利を告げる主人公...心底ホッとして、ほっこりさせられる結末。
叙情感の豊かな、ちょっと変わったボクシングものが観てみたい人に。
原題と邦題違いすぎて笑う。

ボクシングで光が当たらない部分を見た感じ。最後はもっと分かりやすい画が欲しかった。

娘のオロールちゃんがかわいい。それだけ。
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