風来坊

負け犬の美学の風来坊のレビュー・感想・評価

負け犬の美学(2017年製作の映画)
4.0
勝ちより敗けの数のが多い謂わば噛ませ犬的な扱いの中年ボクサー。セコンドもいない観客も応援してない期待していない…関係者にまで部外者と思われる始末。そんな悲壮感に満ちた中年ボクサーをマチュー・カソヴィッツさんが情感たっぷりに熱演。個人的には俳優としてよりも「クリムゾンリバー」監督というイメージの方がいまだに強い。

「ピアノとボクシングとは違うから」そりゃそうだけど聞きたいのはそうじゃなくて…。相手の聞きたい事を汲み取れなくて、そんな言い方しか出来ない先生はあんまり良い先生じゃない気がする。

チャンプと噛ませ犬。光と影のような全く違う人生を歩む2人が絡み合うのはお話として盛り上がるけれど、実際はあんなに実力差がある人をスパーリングパートナーに選ぶのかな。ボクシングに詳しくないので分からないですけど。

40歳過ぎのボクサーか…本編でもそうですが、それぞれ事情はあるのだろう。あれほど厳しい競技を体力的に下降する年代でも続けるなんてそれだけで尊敬。支える奥さんもそりゃ大変だ。海外では多いらしいですが、日本では確か年齢制限があった筈。

娘にピアノを習わせ続けたい才能を潰したくない。生活を良くしたいという気持ちが爆発で必死なのは分かるけど、その情熱と強引さ自分を売り込む力があったらもっと成功してたように思えなくもない(^_^;)

娘さん役の子がめちゃんこ可愛い。そりゃこの娘の為なら頑張りますね(笑)
子供らしいふてくされ方もなかなか(笑)
ただあそこは意地張らないで見に行って欲しかったなぁ…。

邦題がうんこ。胸を張って痛みに耐え踏ん張って生きてるそれだけで最高で負け犬なんかでは決してない。
ボクシング映画というよりはどん底でも必死にあがいている男の姿を描いた人間ドラマ。

なので、主人公はボクサーとして強くはないし、チャンピオンを狙える位置に居る訳でもなく、華麗な試合シーンもなく、勝敗に一喜一憂するような盛り上がるボクシング映画ではないので評価が低い人の気持ちも分かります。
ボクシングはあくまでも脇役人生でどんなに打たれても立ち上がる不屈の男の魂を感じた良い映画でした。

まとめの一言
「勝ち負けよりも戦い続ける事」
風来坊

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