昼寝

ひかりの歌の昼寝のレビュー・感想・評価

ひかりの歌(2017年製作の映画)
5.0
ひ〜〜〜よすぎる……………。杉田協士らしくもないポップさは、「前作を見た批評家にもっとメジャーを意識してみれば?と言われてその意識はあった」と話していてですよねと思った。省略と不在の映画ではあることは変わらないが、過去を語ることこそ端折られていても現在の時間軸が過剰に省略されることはなく、こういう映画にありがちな思わせぶりもない。台湾ニューシネマとかこの頃よく見ていたフォードの名前すら連想してしまうような、空間の広がりとさりげなくも雄弁なアクションがあった。

第一章はキアロスタミみたいな通学路から始まり夜の学校の真っ暗闇に終わる。側面が1つ板張りになっている、あの美術室の椅子のことを考える。キャッチボールはミスらない、ミスらない、ミスる…最高。当然この一章が一番好きだけど、第二章の伊東茄那の自意識のない健康的なエロさも忘れられない。誰でもわかるようなスケベ歌手の好意に彼女は全く気づいていない。告白することに驚きはなく、それに対する彼女の動揺にこそ驚けるのが素晴らしい。第三章の「仕事ある、けど~…?」のくだりめっちゃ好き。小樽の街、父の写真。始発電車に乗る直前の省略が凄く良い。第四章が一番他の監督作とも似ていて、物語の中心に大きな空洞がある。それでもかなりわかりやすい。後部座席からの顔の見えない切り返し。
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