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詩人の恋のclydebarrowのレビュー・感想・評価

詩人の恋(2017年製作の映画)
4.0
恋に関する全てがあった。
主人公が冴えない甲斐性無しの中年男で、相手が若い男の子だけれど、それでもここで描かれているのは人を恋することの深い淵と、喜びと痛みだ。
家族も平穏な明日も、肉欲すらどうでもいいと思えるほどの静かで深い恋。

ある程度歳を重ねてから観た方がいい作品かも。恋愛の数の問題ではなく、自分と他人のココロを見つめる作業を何度か繰り返した後で観た方が、主人公の心情がよく理解できると思う。

“もう何も起こらない “
“いつからか君を想うたびに “
“涙がこぼれる”

最後の詩に、胸が熱くなった。特定の誰かを思いだしたわけではなく、過ぎた時間と喪ったと思っていた特別な感情が甦って、人を想うということについてしみじみと思いを巡らせた。
いい映画だった。
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