シソウメ

怪怪怪怪物!のシソウメのレビュー・感想・評価

怪怪怪怪物!(2017年製作の映画)
4.1
人を見下す人
人を喰う怪物
怪物をいたぶる人
人を殺す怪物
人を殺す人

全部怪物じゃね?
という作品。

ラストシーンが素晴らしい
とか言うと、期待しすぎたーとか言う人も多いと思うけど
これは青春映画なのだから、主人公の成長にカタルシスがあるべきなのだと思う。
だから評価は高いです。

台湾の社会問題、高齢化による老人の扱い、宗教と教育、犯罪者とその親族、若者のモラル低下、ていうかどいつもこいつものモラル低下などなど
台湾だけじゃなく全世界的に問われてるところですね。
こういったところのテーマが織り込まれ、怪物はお前らだよってズバッと示してくれるそんな映画。

イジメられたくないからイジメに参加して、殺されたくないから別の誰かを殺す。
主人公の判断をメインで描かれているけど、同級生だって皆同じだし同罪。

自分ならイジメなんかに屈しない、とか言う奴。
お前がその立場だったら、あんだけぶっ飛んでるやつを止めるにはきっと殺し合いになる。
相手を殺して余生を送る覚悟があるなら別だけど、そんな奴のために一生を捧げるのは勇気とは思わないかな。
それに、それは結局いじめてる奴をイジメの対象として落とし込むってこと。
一番は関わらないようにひっそり生きる選択肢。

今の貴方がそう言えるのは、周りに助けてくれる人がいたからだよ。
たまたま、この主人公みたいにならなかっただけ。
くだらないイキりは恥ずかしいね。

というのは置いておいて。

映画の内容にはほとんど救いはないし、爽快に思うところもほとんどない
なのにコメディチックなシーンとか、ポップなPVみたいなシーンとか入れてきて笑える。
それが全然救いになってないのにテンションだけ高くて最高。

怪物は生きるために人を殺して喰う。
なるべく人目に付かないよう、ホームレスを喰って生きる。
ホームレスがどうこうという議論は置いておくけど、できる限り慎ましく生きてる。
最後まで怪物は愛のために戦う。

人は?
人はクソばっかり。
人が人の社会で生きるには感情を殺し、危険を回避し、事なかれで通すか
強い側、奪う側に回るしかない。

正しく抗っても上手くいく可能性は低い。
怪物の中で生きるには本当の怪物になるしかないのだ。
人間がなる怪物はこれまた質が悪い。

とにかくみんな死ぬのはとっても良かった。
他人を貶める奴は死ぬがよろし。
どんな理由があるにせよ、貶めた奴がまず死ね。
怪物頑張れと応援し始める。

愛を知ってるのは怪物だけだから。

カメラの色もずっとミュージック・ビデオみたいだし、雨の描写とか血の色とか光の使い方、かなりドライな撮り方してるからくっきりはっきりスタイリッシュ。

ゴアゴアしてるというより、痛いシーンが多かったかな。
地味と派手の間くらいな。

いじめっ子たちはもっと苦しんで死んで欲しかったけど、一番の悪は誰よ?って話だし
あれはラストシーンに向けた演出としていい意味であっさりしてたと思う。

抗った女の子は独りになって尚戦い続けてる。
誰かを貶める戦い方じゃないけど、戦士だ。
彼女に見せた主人公の答えが本当に素敵だった。
ラストシーンは最高に名シーン。
彼が1つの答えを胸に持ち、成長した。
かっこよすぎる!指差し!!

EDはスクリーモな感じでちょっと古くさいけど、台湾で流行ってたのかな?笑

怪物にも説明があったし、特に文句なし。
シソウメ

シソウメ