「青春」という誰もが通る一本道に２通りの世界を描いたギデンズ・コー。『あの頃、君を追いかけた』が青春に対する懐古的なものだとしたら、本作は青春の枠を越えた、生まれてから死ぬまでの人間の在り方を描いた傑作。
バラエティに富んだカメラワークのダサかっこ良いい感じが青臭いと思えば、スクールバスでの「My way」が流れながらのショットは最高に痺れるし、ラストの第四の壁を破る演出はきっちり見せている。「あれ？こんなしっかり撮れる人だったけ？」と思うほど、エンタメとして撮り続けながら、最後にちゃんとキメてくる万能型。
本当の「怪物」は人間だった…。
というプロットは正直たくさん作られているけれど、このラストが本当の現実なのだろう。悪が勝つこの世の中で、善が勝つにはアレしかないと言わんばかりの終わり方。
怪物とは、他人の痛みに反応しない者たち。誰かの悲痛な叫びが聞こえない者たち。そして弱者を見つけ、保身に走る者。そんな汚くて腐ったゴミクズみたいな自分を自ら見つめ直す事こそが、本来の人間の在り方なのだろう。
それを教えてくれた。
