キツネとタユタム

音量を上げろタコ!なに歌ってんのか全然わかんねぇんだよ!!のキツネとタユタムのレビュー・感想・評価

2.0
自分に自信が無く、やらない理由ばかりを探すストリートミュージシャンが、カリスマロック歌手と出会い自信をつけていくお話。

観終わったあとは良かったのかなと少しは感じるが、前半が圧倒的にきつい。
というかオープニングのタイトルロゴが出るまでがほんとにダメだと思う。誰を客層として考えてるのか分からない。
派手な音楽と見ずらいカメラワーク。決して綺麗とは言えないビジュアルは、ファミリー層を徹底手に排除している。
全体を通してみると「あと一歩を踏み出せない人への応援歌」のような印象を持つ映画だが、それであればあのオープニングは到底受け入れられるものではない。

全体を通しての自由なカメラワークは、ある意味で斬新であるが、反面掟破り感が否めず気分を害す。
不思議なカメラワークの必然性が全く認められず、ただ思いついたからしてみました!とみえてしまう作りは、ほんと良くない。
途中のラーメンを食べるシーン周りが絶好調で、ナニコレと言わざる負えない。

主演の吉岡里帆さん、阿部サダヲさんは圧巻の演技力。
役者に支えられて出来ている映画ともいえる。脚本だけ考えると薄くて味わいも無いものになっているのを何とか演技で支えてくれている。
脇を支える千葉雄大さんや、ふせえりさんもとても良い味を出している。

忙しいカメラワークでごちゃ付き感が否めず、こちらの感情移入の隙間さえ与えてくれず、ずっとどこに落ちどころを持ってくるのか分からない。
三木さん作品が好きならば観れる、嫌いならば手を出さない方がいいと言ったレベルの作品であり、作品のターゲット層はかなり狭めに設定されていると言わざるおえない。

あと唐突なキスはやめて欲しい。三木さんの他の作品でも言えるけどキスすれば何か解決みたいに思っているんだろうか。
映画にとってのキスシーンは色んな背景あってのことだし、それにより関係性がガラッと変わるようなイベントでもあるのに、今作のあれはどうだろうか。(てか兄弟とかそういう設定ありませんでしたっけ…)

何はともあれ役者の方々は全力で作り上げてもらっているし、三木さん自身も新たな挑戦だったのだろうから怒りは沸かないけど、万人には受けないだろうねと感じる。お世辞にも褒められた出来で無いのは確かである。
キツネとタユタム

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