持て余す

音量を上げろタコ!なに歌ってんのか全然わかんねぇんだよ!!の持て余すのレビュー・感想・評価

2.3
阿部サダヲはなんだかカッコいいし、吉岡里帆はかわいいけれど、鼻が曲がるほどのサブカル臭に耐性がなければキツいと思うの。

広く言えば音楽映画の範疇であるのは間違いないし、ヘタレなミュージシャン志望の成長物語を装ってもいるのだけど、どうも様子がおかしい。おかしいというよりも、真面目に音楽映画をやる意志が感じられない。

伝説のミュージシャンが凄かったのは喉へのドーピングをしていたからだとか、レコード会社が影で炎上商法を利用しているとか、かわいいミュージシャン志望が伝説のミュージシャンと出会うことで云々とか、あまりいい意味ではなく漫画的な展開。

それも「サブカル系」で「ライトな層に受けそうな」という補足が付く感じの漫画的なストーリー展開。原作がその手の漫画なのではないかと思うくらいだったのだけど、どうやらオリジナル脚本らしい。

気持ち悪い感じがするのは、主要登場人物に若者が殆どいないところ。吉岡里帆と千葉雄大は中でも若い方だけれど、それ以外は中年以上の人間ばかり。この辺りが「既に死んでしまっているサブカルにしがみついているイタい大人」感を漂わせる。これは明確に腐臭だ。

ギャグらしきものが滑り倒しているのも、半端に説教くさいのもイタい大人の加齢臭に感じられるし、メインを吉岡里帆にしきらないのもそうしたところに端を発しているように見える。

面白く感じるかはそれぞれだと思う。阿部サダヲや吉岡里帆や千葉雄大のファンならば、楽しく見られるのかもしれない。小ネタがいちいち刺さる人だっているだろう。たまたま心情がこの映画に漂っているような風味を求めていることだってある。

だから、これは結局のところ好き嫌いなのかもしれないけれど、こういう映画は見ていてツラいです。
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