Maoryu002

ローマンという名の男 信念の行方のMaoryu002のレビュー・感想・評価

3.5
信念を持ち有能だがコミュニケーションに難のある弁護士ローマン(デンゼル・ワシントン)は仕事のパートナーを亡くし、やり手の弁護士ジョージ(コリン・ファレル)の事務所に入る。しかし、組織の中でやり方を否定されミスを非難されたローマンは、自らの信念とルールを捨てる決断をしてしまう。

「ナイトクローラー」のダン・ギルロイ監督による、非常に硬派な社会派ドラマ。

優秀だけどその力を過信し、社会のルールに馴染めない主人公をモチーフに、現代社会の矛盾というか歪んだ常識を浮き上がらせているように見えた。
一般社会が、みんながいかに妥協して迎合して生きているかも痛感させられる。

ローマンにとっては世の中は不条理で、それに失望して破滅に向かってしまうんだけど、一方で一般社会から見るとローマンはインスパイアされる対象で、人々がローマンの目指す方向に変わり始めるのが皮肉だ。

そして、人間はいかに弱い存在かも語られ、“犯した愚行を許し合うのが自然の掟” というローマンから人々への言葉に悲しくなってしまう。

これはデンゼル・ワシントンなしではありえない映画で、コミュニケーションに障害がある上に、刻々と変化していく様子を仕草と表情で見せる演技は絶妙だった!
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