「ナイトクローラー」の監督作品。
一人の愚直な男の人生。なんか何とも切なかった…
人権派弁護士の主人公。
不正は絶対許さない。正義感の塊。
たぶんアスペルガー症候群かな?と思う。
冴えない風体とコミュニケーションの下手さと冴え渡る頭脳。
一つの事務所で37年間、所長のパートナーとして、裏方で駆け抜けてきたが、所長が倒れて植物状態に。事務所は畳むことに。
自信満々で就職活動に挑むが、見事に玉砕。仕方なく理念の全く違う所長の関連事務所に入れてもらうも、全く上手くいかない。
そんな日々を過ごしている中、ふと思う。
正しさとは何だ?正義とは何だ?
そんなものに何の価値があるんだ?
俺の37年間は何だったんだ?俺の思いは何だったんだ?
世の中なんて変わらないじゃないか。そんなことに時間を割くことに何の意味があるんだ?
一転してしまった人生観から、全く違う生き方を選択してしまう。
そうすると全てが後ろめたくなる。
今まで仲の良かった人達が自分に話す正義の話。思いの話。全てが空虚に響く。こんなことを俺は主張してたのか?
こんな人達と同じ思想を自分は持っていたのか?
わからない。わからない。
そうして映画は徐々に臨界点を迎えていく。
不器用な男の話でもあり、孤独な男の話でもあり、社会というものへの認知、生き方、人生観の話でもある。
そんな男が悩み抜いた末に行き着くところとは。
思ったより胸を打たれるタイプの作品でした。