セッキー

オンリー・ザ・ブレイブのセッキーのレビュー・感想・評価

3.8
★★★★☆:感動
★★★★☆:アクション
★★★★☆:ドラマ

87点


<見どころ>
■リアルな山火事と消火活動
 我々にはあまり馴染みのない山火事、火のスピードや大きさが迫力の映像で描かれます。撮影隊は山岳地帯で過酷な登山をしながら4週間にわたって撮影をし、時に標高約3170mの高地にある高さ426.7mの絶壁沿いでの危険なロケもあったそうです。
 また山火事の消火方法がこの映画では綿密に描かれています。消火の方法は基本的に「火の周囲を囲んで線状に穴を掘り、木や枝、草など燃えるものを全て取り除く」これだけです。そうすることで行き場を失った火は、円の中で鎮火します。ちなみ劇中で出てくるこの防火帯作りは実際に俳優たちによって作られました。

■ジョシュ・ブローリンや俳優たちの徹底した役作り
 20名の俳優達は撮影前に、ニューメキシコ州サンタフェ郊外で実際の訓練キャンプに参加し、防火帯作りや山火事の知識を学び、また過酷な肉体トレーニングを行いました。劇中での木を切ったり穴を掘ったりの消火活動は実際に彼らが演じております。俳優達は消火道具が詰まった約20kgのバックパックを背負い山中でのロケを行いました。
今作の主役、ジョシュ・ブローリンはもともとボランティアで消防活動をしていたという経験があり、並々ならぬ熱意で今作に臨みました。ハードなトレーニングを重ね約18kg減量したそうです。劇中の彼は誰からも尊敬される偉大な指揮官という役を見事に演じきっていました。彼なくしてこの映画の成功はなかったでしょう。

<感想>
 この映画は人物描写や個々の関係性の描き込みが重厚で、人間ドラマとしてとても優れています。消火活動を通して彼らが成長していく様や、それによって育まれる友情や絆はたまらなくよかったです。また今作では計5件の山火事が描かれ、消火活動シーンはとても迫力がありアクション映画としての見せ場もふんだんに用意されていました。エンターテインメント性も兼ね揃えた万人に勧められる作品だと思いました。
ただし、ラストはトラウマになるほどショッキングで気持ちのやり場を失い、見終わった後しばらく放心状態でした。スプラッター映画よりきつかったです。
とにもかくにも、仕事とは言え、誰かがやらなければいけない危険な事を行う彼らは本当にすごい。やり甲斐やプライドを超えた使命感によって突き動かされる彼らは本当に偉大だと思いました。そんな彼らを讃えるという意味で、今作が絶対に作られる意義を持つ作品であるということは間違いありません。
 我々の実生活においても「誰かのため」という意識を持つことが勇敢さへの第一歩なのだと思いました。
 
セッキー

セッキー