TaiRa

ウルフなシッシーのTaiRaのレビュー・感想・評価

ウルフなシッシー(2017年製作の映画)
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TAMA NEW WAVEでグランプリ、男優賞、女優賞の三冠。カナザワ映画祭の新人部門でグランプリ取った前作が最高だったので待望の新作。その時の受賞コメントで「次回作は『アニー・ホール』みたいな」とか言っていたけどもっと辛辣な映画だった。

自主映画監督から食う為にAV監督になった男と売れない役者の女のカップル。アラサーなのに先も見えない二人の一夜かけての罵り合いと記憶の再生。夢とかアイデンティティとか結婚とか、全部がのしかかって来る。極狭ワンルームでの会話劇でも飽きさせない豊か過ぎるワードセンス。台詞の上手さは日本の若手監督で彼が一番。見窄らしい『ラ・ラ・ランド』で、華のない『ブルーバレンタイン』で、21世紀日本のリアル『バージニア・ウルフなんかこわくない』がこれだよ。

アート系やらバイオレンス系に行きがちな日本の自主映画でこれだけのコメディドラマ撮れる人は貴重だと思う。役者の使い方上手いし、「女優を綺麗に撮れる」し。根矢涼香さんとても魅力的だった。本当に酒飲みながら撮影して記憶が曖昧ってのも最高。
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