Kellie

ドリス・ヴァン・ノッテン ファブリックと花を愛する男のKellieのレビュー・感想・評価

3.9
「いつまで経ってもコレクションは挑戦だ」。100回を越える発表経験を積んでも、楽になることも慣れも無い、とドリスは言う。
1回のコレクションがフィナーレを迎えるまで、デザイナー、パタンナー、クリエイターたちとずっと関わり続ける。口だけ出して終わることは決してしない。デザイナーのお手本のような仕事ぶり。インドのおじさま達があの綺麗な尊い刺繍をチクチク縫ってくださったのね!

公私を通じ支えあうのは28年に及ぶ、唯一無二のパートナー。加えて、常に付き従いちょうど良い距離感の飼い犬。そして、クリエイティヴを担うチームは彼の家族のよう。どの人の言葉や行動も、築き上げられたドリスへの厚い信頼が感じられた。
世界中にファンを持ち、良い時も悪い時も乗り越えて支持され続ける理由。それは、彼自身の真面目でブレない人柄、謙虚さ、彼が創る芯がある美しい洋服たちを見続けていたいと思わされるからだ。着る人と共に成長する洋服、なんて理想的なんだろう。コレクションショーを見ていると、ワクワクし、さり気ない美学を誰より早く見つけたい!と身を乗り出してしまう。
ドリスは完全に尊い存在。いつか終わりが来るのかと思うと恐いほど。こんなブランドが、この世にもっとたくさん生まれればいいのに。ファッションの未来は暗いと言われ続けて久しいけど、やっぱり美しい夢を見ていたいんだ...。
Kellie

Kellie